既存システムへの生成AI組み込み事例:アンケートシステムにAIチャットボットを導入する

はじめに

こんにちは、AITCソリューショングループの青木尚人です。

近年、生成AIの活用がビジネス効率化の鍵となっています。特に、APIを通じて他のシステムと連携させることで、既存の業務プロセスに生成AIの機能を組み込むことが可能となりました。弊社の「Know Narrator API」を使用すれば、誰でも簡単に生成AIの能力を自社システムに統合できます。

本記事では、アンケートシステムに「Know Narrator API」を利用してAIチャットボット機能を追加した事例をご紹介します。この事例を通じて、生成AIのAPI連携による具体的なメリットや、その概要と重要性について考察します。

アンケートシステムについて

まず、今回AIチャットボットを導入したアンケートシステムについて簡単にご説明します。

主な機能は、アンケートの作成・編集・回答・通知・集計の5つです。

活用事例:AIチャットボットの導入

AIチャットボット開発の背景

Webシステムは多機能になると、使い方がわかりにくくなります。 アンケートシステムでも同様の問題が発生します。 従来は操作マニュアルを参照するか、サポートチームに問い合わせる必要がありましたが、これではユーザーにとって手間がかかり、リアルタイムでの対応が難しいという課題がありました。

そこで、ユーザーがシステムの使い方を気軽に尋ねられるAIチャットボットを導入することにしました。

弊社の「Know Narrator API」を利用することで、短期間で操作マニュアルを基にした高品質な回答を生成するAIチャットボットを構築することが可能となりました。

AIチャットボットの機能

具体的には、ユーザーがシステム内で「アンケートを作成するにはどうすればいいですか?」といった質問をすると、AIチャットボットが操作手順を詳しく回答します。

アンケートを作成するにはどうすればいいですか?

のような質問に対して

アンケートを作成するには、以下の手順を踏む必要があります。

アンケート作成画面への移動:

アンケート一覧画面の左上にある「作成」ボタンを押下します。これにより、アンケート作成画面に遷移します1。

アンケートの設定:

(省略)

以上の手順でアンケートを作成することができます。何か不明点があれば、さらに詳しく説明いたしますのでお知らせください。

このように、事前に用意した操作マニュアルを基に、生成AIが適切な回答を提供します。ユーザーはリアルタイムで疑問を解消でき、操作マニュアルを探す手間が省けます。

導入によるメリット

次に生成AIのAPI連携による具体的なメリットについて述べます。

ビジネス的なメリット

  1. ユーザー満足度の向上:使い方がわからない際に即座に回答を得られるため、ユーザーのストレスを軽減できます。

  2. サポート業務の効率化:サポートチームへの問い合わせ件数が減少し、リソースを他の重要業務に割り当てることが可能になりました。

  3. システム改善へのフィードバック:ユーザーの質問内容を分析することで、システムの改善点を把握しやすくなりました。

技術的なメリット

  1. 迅速な開発:「Know Narrator API」を使用することで、複雑なAIモデルの構築なしにAIチャットボットを実装できました。

  2. 高品質な回答生成:生成AIが持つ高度な言語生成能力とRAG ※1により、操作マニュアルをベースとしたユーザーにわかりやすい回答を提供できます。

  3. スケーラビリティ:API連携により、将来的な機能拡張や他システムとの統合も容易になりました。

※1 RAG (Retrieval-Augmented Generation) とはテキスト生成タスクにおいて情報検索を取り入れた手法です。

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生成AIのAPI連携の概要

次に、生成AIのAPI連携の概要について述べます。

生成AIのAPI とは

生成AIのAPI(Application Programming Interface)は、開発者が生成AIの機能を簡単に利用できるようにするためのインターフェースです。 APIを通じて、開発者は複雑な生成AIモデルを直接操作することなく、生成AIの能力を自分のアプリケーションに統合することができます。 これにより、開発時間の短縮やコストの削減が可能となり、近年注目が集まっています。

生成AIのAPIは、さまざまなシステムに適用が可能です。 以下では、実際に使用した弊社のKnow Narrator APIについて詳しく説明します。

Know Narratorについて

Know Narrator APIについて説明する前に、Know Narrator について説明します。

Know Narratorは、企業向けに設計された安全で信頼性の高い生成AI活用プラットフォームです。

厳しいセキュリティ対策が求められる金融業、人手不足の影響が大きい製造業、DXを積極的に推進している大手企業や官公庁を中心に70以上の導入実績があります(2024年12月現在)。

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Know Narratorは4つのソリューションからなりたっていますが、その中の Know Narrator Search は社内文書を参照して回答を生成する機能を備えています。

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この機能により、独自に作成した操作マニュアルを参照して生成 AI に操作方法を回答してもらうことができます。

Know Narrator API について

Know Narrator APIは、上記のKnow Narrator SearchとKnow Narrator Chat with Vision ※2をAPIで利用できます。

Know Narrator SearchをKnow Narrator APIを使用して呼び出すことで、ドキュメントを参照した生成AIによる回答生成機能、つまりRAGを容易に自社システムや業務プロセスに合わせて導入することが可能です。

通常の生成AIのAPIとの違いは以下の4点です。

  1. 安心・安全かつ高品質な利用環境
  2. 高精度なRAGアルゴリズムの活用
  3. 迅速開発をサポートするパッケージ提供
  4. 認証認可、証跡/分析対応

以下の図は、Know Narrator APIを利用したシステムの基本的な設計図です。

Know Narrator APIを使用したシステムの概略図

図のように、APIを通じて生成AIをシステムに組み込むことで、既存システムに、容易に生成AIを組み込むことができます。例えば、企業ポータルに組み込んだりする事も容易に出来ます。

※2 Know Narrator Chat with Visionとは、お客様専用のAzure環境による安心・安全な生成AIの利用環境です。

単に生成AIをチャット形式で利用できるだけでなく、エンタープライズ向けのビジネスユースに特化した様々な機能を搭載しています。

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生成AIのAPI連携の重要性

生成AIのAPI連携は、以下の2つの観点で現代のビジネス環境において不可欠な要素となっています。

ビジネスの迅速化と競争力の強化

APIを通じて生成AIをシステムに統合することで、新しい機能やサービスを迅速に市場へ投入することが可能になります。これは、ビジネスの俊敏性を高め、競合他社に対する優位性を築く上で重要です。

開発リソースの最適化

毎月のように新たなモデルが出てくるような進化の激しい生成AIモデルを、自社で一から開発・運用するには、多大な労力やコスト、専門知識が必要です。しかし、APIを利用することで、そのような負担を軽減し、限られた開発リソースを他の重要な領域に集中させることができます。これにより、開発コストの削減とプロジェクトの効率化が実現します。

まとめ

本記事では、生成AIのAPIの具体的な活用方法について紹介させていただきました。

生成AIのAPI連携はビジネスの俊敏性向上や開発コストの削減といった点で重要な役割を果たします。 これらのメリットを活用することで、企業は競争力を維持・向上させ、より高品質なサービスを提供することが可能になります。

当社の「Know Narrator API」は、これらの要素を踏まえて設計されており、企業のニーズに応じた柔軟な生成AI統合を実現します。

ご相談を希望される方は、お気軽にこちらのお問い合わせフォームからご連絡ください。

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筆者

AIソリューショングループ

青木 尚人