第18回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2026)参加レポート

こんにちは、AIソリューショングループの大沢直史です。

2026年2月28日から3月5日まで、「データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム(DEIM2026)」が開催されました。

電通総研はシルバースポンサーとして参加しました。

今回の参加は電通総研・AITCの採用に向けたPRに加え、業務の一環として学会に参加し、最新の研究動向や取り組みを調査・キャッチアップすることを目的としています。

本コラムでは、DEIMの紹介と学会の様子、そして参加して感じたことについてお伝えします。

DEIM2026

DEIM(データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム)は、データベース・情報検索・自然言語処理などを横断する国内最大級の学術イベントであり、研究者・学生・企業エンジニアが一堂に会して議論を行う学会です。

今年は前半3日間はオンライン会場での研究発表、移動日を挟んで後半2日間は神戸国際会議場にてポスター発表やワークショップ、チュートリアルなどが開催されました。

18回目となる今回は参加登録者が過去最大を更新し900名を超えたとのことでした。
(画像はクロージングで公開された数字ですが、この後再計算によって901名程となったようです。)

AITC製品開発チームから、8名で参加しました。

電通総研・AITCのPRの一環として、現地では名刺交換やノベルティの配布、会社紹介を行いました。
また電通総研に興味を持ってくださった方と直接話をして、電通総研の会社紹介・AITCがどういった活動をしていてどのようなプロダクトを作っているのか・どういった働き方をしているのか等紹介しました。

学生の皆さんと話をする中で、電通総研・AITCのさらなる認知向上に向けて、単にイベントに参加するだけでなく自分たちの取り組みやプロダクト・働き方をより主体的に発信していく必要があると感じました。

また、学生の皆さんは「どのような技術に取り組んでいるか」だけでなく、「どのようなメンバーが、どのような環境で開発しているのか」といった点にも強い関心を持っていることが印象的でした。

配布したノベルティのボールペン

オンライン会場

2月28日(土)- 3月2日(月)の3日間はオンライン会場にて研究発表が行われました。A~L会場まで用意されており、多くのセッションでの発表がありました。

私自身、学生時代に参加したことがあるのですが、改めてDEIMが多岐にわたる領域の課題を扱う学会であると再認識しました。

AITCで開発を行っている生成AIプラットフォーム:Know Narrator/ノウナレーターhttps://aitc.dentsusoken.com/products/knownarrator/)に関連する、生成AI、LLMや情報検索のセッションを中心に聴講させていただきました。
参加したどのセッションもQAやコメントが活発に行われていて、非常に良い雰囲気でした。

私が聴講したセッションでは、LLMをドメイン適用した事例からLLMの内部特性の分析などが多かった印象です。
また最近は複数のLLMモデルが簡単に利用可能になっていることからモデル毎の特徴を分析する研究など、実運用を見据えた比較・評価に関する発表も多く見受けられました。

聴講した発表の紹介

AITCメンバーが聴講した発表内容の中からいくつか面白かった発表を紹介したいと思います。

適応的プロンプト最適化に基づく次発話推薦
プログラム:https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/deim2026/presentation/3A-04

SB Intuitions株式会社より、LLMを用いた次発話推薦において、プロンプトを自動最適化する手法が提案されていました。文脈分類・意図計画・発話生成の3段階で制御することで、多様性と精度を両立している点が特徴です。
特に、GEPAを用いたプロンプト最適化ではプロンプトが進化的に改善され、人手設計を超える戦略を獲得する点が興味深いと感じました。


文書拡張プロンプト最適化に基づく同時更新文書検索
プログラム:https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/deim2026/presentation/2F-01

本発表では、文書の更新に伴い同時に修正すべき文書を検索する新しいタスクが提案されていました。文書拡張にLLMを活用し、そのプロンプトを最適化することで、少量データでも検索性能を向上させる点が特徴です。さらに、コーパス全体を再計算せずに最適化できる仕組みを設計している点が実用的で興味深いと感じました。
本研究では法令文書を例として挙げてくださっていました。企業内の規約文書なども例外ではなく同時更新文書に該当するため、アプローチが参考になると感じました。


文化に適応した文書生成を行うためのプロンプト最適化
プログラム:https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/deim2026/presentation/3A-02

本発表では、LLMの文化的バイアスをHofstedeの6次元モデルで定量評価し、米国への強い偏りやペルソナの効果が限定的であることなどを詳細に分析していた点が印象的でした。特に、モデルの開発拠点や言語条件による違いも比較しつつ、単純なプロンプト操作では文化適応が十分でないことを示しています。

オフライン会場

オンライン日程の後、1日を移動日として、3月4日(水)- 3月5日(木)の2日間は神戸国際会議場にて研究発表が行われました。

オンライン会場にて発表があった研究内容について、ポスター発表ブースにてインタラクティブにディスカッションすることができました。
気になった研究について、直接研究の代表者とディスカッションできるのは非常に有意義でした。

どのポスターブースも非常に盛り上がっていて、対面でやり取りできる良さを改めて実感しました。

まとめ

この記事では電通総研がDEIM2026に参加した様子をお伝えしました。

今回DEIMに参加して特に感じたのは、生成AI・LLMの存在感の大きさと同時に、その使われ方が変化してきている点です。

ここ1〜2年では、マルチエージェント構成やエージェントアーキテクチャといった「システム全体の構成」に関する研究も多く見られましたが、今回のDEIMではそれらはやや減少し、LLM単体の性能向上を前提として「どのように活用するか」「どのように評価・比較するか」といった観点に関心が移っている印象を受けました。

特に、複数の商用LLMが低コストで利用可能になったことで、モデル間の特性比較や適用領域の見極めといった、実運用を見据えた研究が増えている点が特徴的でした。

一方で、DEIMの本来のテーマであるデータ工学・情報マネジメントの領域自体が大きく変わったわけではなく、データベースの最適化や情報検索、エンティティ解決、地理情報活用といった従来からのテーマは引き続き重要な研究対象となっています。

ただし、それらの課題に対するアプローチとして、従来の機械学習やルールベース、Human Computationに加えて、LLMが有力な選択肢として組み込まれてきている、という構図に変化していると感じました。

また、他のAI系学会と比較した際のDEIMの特徴として、「データを活用して課題を解決する」という志向の強さが挙げられます。手法そのものよりも、課題解決に対してどのような手段が有効かを重視する傾向があり、その結果として生成AIも数ある手段の一つとして活用されている印象を受けました。

今回のDEIMへの参加を通じて得られた知見や気づきを今後の開発や取り組みに活かし、より実用的で価値の高いソリューションの提供につなげていきたいと考えています。

現在、AITCでは意欲あるメンバーを募集しています。 下記URLから応募できますので、興味のある方はこちらからぜひお願いいたします。

新卒採用:募集要項
中途採用:キャリア採用ページ

執筆
AIソリューションチーム
大沢直史