【速報】Microsoft Ignite 2024 Day1 KeynoteからAI関連情報をピックアップ

Microsoft Ignite 2024は、2024年11月19日から21日まで、米国イリノイ州シカゴのMcCormick Place Westで開催されている、マイクロソフトの年次最大級のテクニカルカンファレンスです。

このイベントは、ITプロフェッショナル、開発者、ビジネスリーダーを対象に、マイクロソフトの最新イノベーション、製品アップデート、ブレークスルーが紹介されています。

news.microsoft.com

実際のプレゼン時間は、日本の夜中の時間ですので、なかなかライブで見るのは難しいですが、このコラムでは、サティア・ナデラ氏が行ったDay1 Keynoteの内容から、AI関連情報のみをピックアップしてご紹介します。

Windows 365 Linkなど、AIのハードウェア関連は除きます。 以下の内容、特徴や事例は、あくまでKeynoteで発表された内容になります。

一番印象に残ったところは?

Seth Juarezさんが実施したContoso Outdoor Companyのデモでした。

www.youtube.com

Sethさんのデモでは、AIを活用したカスタマーサービスの新しい体験を紹介しました。このデモでは、キャンプ用品の購入を計画している顧客を対象に、以下の手順で高度にパーソナライズされた未来的なデモを実施されました。

デモの流れ

1.画像の利用から始まる会話

  • ユーザーがキャンプのイメージ写真を送信すると、AIは画像を解析して冬のキャンプに必要な装備を推測。

  • チャット形式での会話が開始され、顧客のニーズを理解。

2.電話通話によるパーソナライズ体験

  • 従来のチャット体験から脱却し、より人間味のある電話通話がデモされた。
  • AIは電話越しにユーザーに挨拶し、ブラウザ上で「コンシェルジュページ」を提案。

3.コンシェルジュページの提供

  • AIがユーザーのブラウザにリアルタイムで専用ページを送信。
  • ページには、キャンプ用品の推奨リストが表示され、ユーザーが簡単に情報を確認できる仕組み。

4.商品推奨とリスト作成

  • AIは、既存の購入履歴を考慮して適切な商品を提案
  • AIが個々の商品の詳細や利用シナリオを説明。

5.記事の自動生成

  • AIは提案内容を基に、顧客専用のキャンプガイド記事を作成。
  • AIが電話越しに「パーソナライズされた記事が画面に表示されました」と案内。

6.スムーズな顧客体験の完了

  • ユーザーが記事や提案を確認し、満足を表明。
  • AIが「素晴らしいキャンプを楽しんでください」と温かく締めくくり、通話を終了。
特徴的な技術と機能

• Azure AI Foundryのエージェント機能:

  • 顧客の画像や会話データをもとに、即座に適切な提案を行う。
  • ファブリックデータ基盤を活用して、複数のデータソースから情報を統合。

• リアルタイムAPIとマルチモーダルモデル:

  • 画像、音声、テキストなど複数のデータタイプを活用し、シームレスなユーザー体験を実現。

• 高精度なパーソナライズ:

  • 購入履歴や画像情報をもとに、顧客ごとに最適化された提案。


Copilotの進化と新機能

Copilot Pages

Copilot Pagesは、AIを活用したリアルタイムの共同作業を可能にする「マルチプレイヤーキャンバス」。

  • 主な特徴:

• リッチコンテンツの作成: インタラクティブなグラフ、表、数式、複雑な図表を簡単に作成。

• AIとの共同作業: チャットを通じてAIと直接やり取りし、アイデアの洗練やタスクの自動化が可能。

• リアルタイム共有: ドキュメントや分析結果を即座に共有。

  • 実例:

例えば、営業チームが新規顧客への提案資料を作成する際、Copilot Pagesが顧客情報を自動的に収集し、初期ドラフトを生成。これにより、数時間かかる作業が数分で完了。

Teamsでの新機能: 過去の会議を未来の資産に

TeamsにおけるCopilotの新機能は、過去の会議やチャット履歴を分析し、次のアクションを提案することで、チームの効率性を向上させる。

  • 主な特徴:

• 議事録作成の自動化: 会議の録音やチャット内容をリアルタイムで要約。

• 「Screen Understanding」機能: 会議中に共有されたプレゼン資料やドキュメントについての質問に回答可能。

• 意思決定を促進: 過去の会議内容を基に、次のステップを具体的に提案。

  • 例:

営業会議でCopilotが全員の発言を分析し、次のアクションアイテムを自動的に作成。これにより、会議後のフォローアップが迅速に行える。

Excelでの強化: Python連携によるデータ分析の新境地

Excelは、Pythonとの連携を強化することで、データ分析能力が向上した。この統合により、ユーザーは高度な統計解析やデータビジュアライゼーションを直感的に実行可能。

  • 主な特徴:

• 高精度なデータ分析: Pythonコードを使用してヒートマップや散布図などを瞬時に生成。

• 自動化された洞察提供: データを元に、重要なインサイトやアクションプランを提案。

• 戦略立案の支援: 製造現場や営業の効率を高める具体的なシナリオを自動生成。

  • 例:

製造業の生産率向上を目的としたデータ分析を、わずか数分で完了。以前は数日かかっていた工程が、AIのサポートで劇的に短縮される。

Actions: 日常業務を自動化する新しいワークフロー

Actionsは、OutlookやTeams、SharePointなどのMicrosoft 365全体で、ユーザーが日常的に行うタスクを自動化する。

  • 主な特徴:

• タスクの自動化: ステータス更新要求や週次レポートの作成、会議スケジュールの調整を自動化。

• テンプレート活用: 再利用可能なテンプレートで、簡単にタスクの自動化を設定可能。

エージェント

Copilotは、特定の役割や権限に応じたAIエージェントを導入することで、チーム全体の生産性を向上。

  • 例:

• ファシリテーターエージェント: 会議を集中させ、チャットの管理やアクションアイテムのフォローアップを支援。

• プロジェクトマネージャーエージェント: プロジェクトの計画作成やタスク割り当てを自動化。

• SharePointエージェント: 知識ベースにアクセスし、関連情報を即座に提供。

AIスタックと開発者向けツール

AIスタックは、すべてのアプリケーションをAI対応にするための包括的な考え方。

Azure AI Foundry:AIアプリ開発のための統合プラットフォーム

Azure AI Foundryは、AIモデルの選択からトレーニング、評価、エージェントの作成までを一元化した新しい統合プラットフォーム。

Azure AI Studio のリブランドになります。

  • 主な特徴:

• 豊富なモデル選択:

Foundryでは1,800以上のAIモデルが利用可能。

OpenAI(GPT-4 Turboを含む)やMeta、Mistralなどのオープンソースモデル、業界特化型モデルがラインナップ。

• モデル実験ツール:

複数のモデルを比較し、最適な結果を得られるモデルを選択可能。

実験結果を可視化し、モデル選択のエビデンスを提供。

• 高度なモニタリング機能:

アプリケーションのパフォーマンス、安全性、コストを包括的に管理。


以上、2024 Ignite Day1 Keynoteの速報でした。

執筆
AITC センター長
深谷 勇次