ChatGPTとのチャット履歴の分析から業務課題の仮説を立てる

こんにちは、AI製品開発グループの太田です。

昨年に登場してから注目を集め続けているChatGPTですが、現在急速にビジネスの現場への導入が進んでいます。

ChatGPTにより社内のDXを推進するためにはChatGPTをどのように活用して業務の効率化をはかるのか戦略を立てることが重要になります。しかし、こうすれば上手くいくという具体的な指針が示されているわけではなく、ChatGPT活用の戦略を模索している方が多いのではないでしょうか。

本記事では、特に、DX推進のご担当者様向けに、ChatGPTを用いて業務の改善を行うためのポイントと、チャット履歴分析ソリューション Know Narrator Insightによる改善事例を紹介します。

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ChatGPTによる業務改善に関する課題

ChatGPTを用いた社内DX進めようとすると、以下の課題が生じることがあります。

「社内用ChatGPTを導入したはいいけど、どんな使われ方をしているのか分からない」 「どこの部署がどんな課題があるか、新たなビジネスを発見したいがどうすればいいか分からない」

Know Narrator Chatのように、安心・安全にChatGPTを活用できる環境を導入することで、各利用者ごとに業務を改善することはできます。しかし、全社的な業務改善につなげるためには、利用者がChatGPTで解決したい業務課題を集める必要があります。

この解決すべき業務課題を業務課題を集めるためにはどうしたら良いでしょうか?

アンケートを実施するという方法もありますが、さらに有効な方法としてChatGPTのチャット履歴からユーザーがChatGPTでどのようなことを実現したいのか分析する方法があげられます。

  • 頻繁にChatGPTを利用しているユーザーは何を目的に利用しているのか
  • 期待した回答が得られずに何度も質問された内容はなにか
  • ChatGPTを利用しなくなった利用者の利用目的はなんだったのか

このような分析をを行うことで、利用者がChatGPTで解決したい業務課題が見えてきます。 Know Narrator InsightKnow Narrator Insightを利用すればこれらの項目を分析することができます。

対話ログ分析ソリューション Know Narrator Insight

Know Narrator Insightは、ISIDがリリースしたChatGPTに関連する3つの製品のひとつです。3つの製品には、安全な社内用ChatGPTの環境を提供するKnow Narrator Chat、社内文書を検索できるChatGPT環境を提供するKnow Narrator Searchが含まれています。

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そして、Know Narrator Insightを利用することで、Know Narrator Chatと Know Narrator Searchの利用ログを分析することが可能になります。

社内用ChatGPTのチャット履歴は、個人情報を多く含むため社外に分析を依頼することはできません。また、自社で分析する場合はデータ分析のスキルがないと難しいです。私達はChatGPT導入担当者や情報システム部門の方が自らChatGPTのチャット履歴を様々な角度で分析できるようにKnow Narrator Insightを開発しました。

Know Narrator Insight導入による効果

Know Narrator Insightを導入することでチャット履歴のハッシュタグやトピックの分析ができ、前述の項目だけではなく、ChatGPTを活用した業務改善を推進するための様々な知見を得ることができます。

1. 部署間で共通する業務の困りごとが見える

個人では、当たり前な利用方法だと思っていても部署レベルでは当たり前でないことはあります。Know Narrator Insightでは社内のチャット履歴を分析することで、各利用者がどのような用途で利用しているか可視化可能です。個人の利用用途を全社で共有することで、多くの利用者の要望が見えたり、新たな利用用途を発見することができます。

2. 利用者が抱えている要望や困りごとから改善策を検討できる

チャット履歴の分析結果から利用者が抱えている業務課題を抽出し、その解決を検討することができます。解決策としては、ChatGPTの利用方法を工夫することで解決できる場合もありますし、社内システムの改修や開発によって解決されることもあります。

業務課題に限らず、キャリアや働き方に関する課題をチャット履歴の分析結果から得られた場合は、社内で新たな研修を実施したり就労規則を改善することで対応できるかもしれません。

3. ロイヤルユーザーの声を聞き、新たなアイデアを抽出する

ChatGPTの利用ユーザーは大きく分けて、無関心、一般、ロイヤルユーザーの3つのカテゴリに分類することができます。

特にロイヤルユーザーは、興味深い利用方法を模索していることが多いです。ロイヤルユーザーが発見した知見をチャット履歴から抽出することで、ChatGPTに関することに限らず、業務改善や新規事業に繋がる新たなアイデアを抽出できます。

分析方法を紹介

Know Narrator Insightを用いた分析例を3つ紹介します。

1. どの部署が何に課題を感じているのか

分析結果のユーザーハッシュタグ対話トピックから判断できます。 ハッシュタグは各対話につき、最大3つまで自動で付与されます。対話トピックはAIが似ていると判断した対話をグルーピングしたまとまりになります。

分析時は、部署のユーザーを複数選択したうえで、対話トピックを確認し、ハッシュタグで詳細な情報を確認する流れになります。 最終的には対話カードから部署メンバーの質問を見て、部署の課題を言語化することができます。

2. 利用頻度が高いロイヤルユーザーは何をしているのか

ロイヤルユーザーの定義を頻度高く利用するユーザーとし、ロイヤルユーザーの利用内容に絞って分析を実施できます。 まずは、利用回数が多いユーザーを選択します。 そのユーザーがどんな対話をしているのか文章検索、対話トピック、ハッシュタグで分析することで実現します。

3. 時間をかけてChatGPTを利用しているロイヤルユーザーは何をしているのか

こちらではロイヤルユーザーの定義をChatGPTへの質問文の作成に多大な手間がかかっても、回答をChatGPTに求めているユーザーとします。 このようなユーザーを分析から特定するために、分析は対話ログの文章が長いユーザー、または1つのセッションで対話ターン数が多いユーザーを分析しましょう。 このようなロイヤルユーザーはChatGPTによる業務改善を進める上で重要となる知見を持っている可能性が高く、利用履歴を確認することでそれらの知見を集めることができます。また、直接ロイヤルユーザーから利用目的をヒアリングすること有効な場合もあります。

この記事では、社内用ChatGPTのチャット履歴を分析することで業務課題を抽出し解決策を検討する方法をご紹介しました。いかがでしょうか。ご興味を持った方はこちらのフォームよりご連絡ください。

執筆
AITC 製品開発グループ
太田 真人