こんにちは、AITCの小川です。日頃の業務では、様々な企業様から預かったデータの統計的な分析や、AIモデルの構築に携わっています。
生成AIについてのニュースを聞かない日はないというくらい、生成AIに関する動きは広がり加速しています。 今回は、日頃の業務で生成AIを活用してビジネスメリットを生み出すにあたって必要なことについてお話しします。
生成AI活用に必要なこと
生成AIを効果的に活用するには、どんなステップが必要なのでしょうか?
「まず生成AIを使ってみる」ということも考えられますが、その前に「生成AIについて体系的に知る」ことが重要です。 例えば、以下のポイントを押さえておくと、生成AIの活用がスムーズになります。
- 生成AIの仕組み: 生成AIはどのような仕組みで動作しているか?
- 生成AIの可能性: 生成AIでどのようなことが可能か?
- 生成AIのリスク: 生成AIのリスクとしてどんなものがあるか?
- プロンプトエンジニアリング: プロンプトエンジニアリングはどのようにするか?
- RAG: RAGとはどのような仕組みなのか?
上記のポイントを押さえていないまま生成AIを活用しようとすると、以下のような問題に直面します。
生成AIをそもそもどのように使えばいいかわからない
生成AIについてよくわからない方は、生成AIは業務に使えそうな印象を持っているが、生成AIをどのように使えばいいかわからないという方が多いです。
例えば、ウェブ検索のように「〇〇の方法」といった生成AIに意図が伝わりにくい質問をしてしまい、生成AIを使う利点を享受できずない方が非常に多いです。 「生成AIがどんなインプットをもとに何をできるのか」や「どんな使い方があるのか」を知ることで生成AIを活用できるようになります。
生成AIの回答が期待したものではなかったため、使うのをやめた
生成AIは、プロンプト (生成AIに対する入力文・指示) 次第で回答が大きく変化します。 具体的でないプロンプトでは品質の低い回答が生成されるため、利用を諦めてしまう方も多いです。
また、同一のチャット内で全く別のテーマの質問を投げかけて利用していることも、品質の低い回答の原因としてあります。 生成AIは入力の文章から連想される単語を出力する仕組みで動作しているため、文脈が異なる関係ない文章の影響を受けてしまうことがあります。 したがって、テーマが異なる場合は別のチャットで質問したほうが良いとされます。
上記のような問題が発生することを避けるため「生成AIがどんな仕組みで動作しているか」や「良い回答を得るためにプロンプトをどのように記載するか(プロンプトエンジニアリング)」を知っておくと、質の高い回答を得ることができます。
生成AIの回答をよく確認せず業務で利用したが、内容が間違っていたため関係者に迷惑をかけた
生成AIには、無理にでも回答を生成しようとする性質があるため、ハルシネーションと呼ばれる「嘘をつく現象」が発生することがあります。 したがって、生成AIの回答を確認せず、業務で利用するにはリスクが伴います。
ハルシネーションによって間違った情報が含まれる生成AIの回答をそのまま業務で利用することで、損害が発生し他人に迷惑をかけてしまったことで、生成AIの利用を諦めてしまう方もいます。
生成AIは便利ですが、このほかにも様々なリスクがあります。 生成AI利用時のリスクを正しく把握しておくことで、あらかじめ生成AIによる損失を防ぐことができます。
RAGを用いた生成AIの回答精度が低い
RAG(※)と呼ばれる技術を用いることで、社内の情報にも回答できる生成AIが利用できるため、業務活用の幅が広がります。 そのため通常の生成AIに加えて、RAGを用いた生成AIの業務適用が検討されることが増えています。 しかし、RAGの特徴や性質を何も知らないと、どんなデータを用意する必要があり、どんな使い方をすればよいのかわからないため、回答精度が低く業務で使えないといった事態に陥ることがあります。
※RAG (Retrieval-Augmented Generation) は、生成AIによるテキスト生成に対して、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術のことです。 RAGについて知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。 aitc.dentsusoken.com
生成AIについて必要な情報を学ぶにはどうすればいいのか
これまで挙げたような問題の発生を避けるためには、生成AIについて知ることが必要です。
ウェブの記事やYoutube、SNSなど生成AIに関する情報は様々なメディアで発信されているので、それらから地道に収集をすることも可能ですが、様々な場所に散らばっており、さらに整理されていない情報から生成AI活用のノウハウを理解するのは難しいです。
ですので、予め体系的に整理されているコンテンツから学習する方が効率的に生成AIについて知ることができます。
また、単純に個人がそれぞれ独自に生成AIについて知るだけでなく、部署や会社単位で自己の業務にあった生成AIの活用方法を理解しているのか確認することも重要です。 生成AIについて学んだことを日々の業務に適用できるレベルで理解したのか確認することで、誤った理解を防いだり、より効果的な生成AIの活用が可能になります。
AITCでは、生成AIの活用に際して生成AIに関する知識を深めるためのEラーニングコンテンツをご用意しています。
短いセクションに分けているので隙間時間に見やすく、技術者以外の方でもわかりやすいように画像や図を豊富に用いた解説をしています。 また、テスト機能もあるため、生成AIに関する理解度およびその変化を計測することも可能です。
また、「生成AIを知る」以外にも生成AIの活用を包括的に支援していますので、生成AI活用についてお困りごとあれば、お気軽にAITCまでぜひご相談ください。
執筆
AIコンサルティンググループ
小川 裕也