社内ChatGPT活用DXステップと推進課題
はじめに
2023/04/3に以下のようなコラムを公開しました
昨今、毎日のように、ChatGPTに関連したニュースが出ていますね。私が上記コラムで記載したように、様々な企業/自治体が、Azure OpenAIサービスを利用してChatGPTの安心・安全な社内利用環境を構築し、既に国内数十万人の方々が使い始めるようになりました。以下、4月に発表されたニュースの一部になります。
パナソニック、国内全社員9万人にGPT3.5ベースのAIアシスタント - Impress Watch
ベネッセ、AIチャットサービス「Benesse GPT」を開発--より良い商品開発に向けて - ZDNET Japan
大和証券、対話型AIの「ChatGPT」を導入し全社員約9,000人を対象に利用を開始 - 日本経済新聞
3メガ銀が対話型AI活用へ、生産性向上期待-システム開発自動化も - Bloomberg
自治体初!横須賀市役所でChatGPTの全庁的な活用実証を開始(2023年4月18日)|横須賀市
このような状況の中、私のコラムを読んで頂いたお客様から直接お問い合わせを頂いたり、できるだけ早く推進したいので、直ぐに提案してほしいというようなお話しを多数頂いています。
ChatGPTの安心・安全な社内利用環境を作る
お客様とのディスカッションの中で、非常に重要視してお話しさせていただいているのは、導入のプロセスもそうですが、導入した後、如何していきたいか?という部分です。如何していきたいか、目的、ゴールによって、あるべき機能やUI、その企業の既存システムとの関連など、準備すべき仕組みや最適なアーキテクチャが変わってくるからです。
そう考えると、どのように進めるかは、それぞれの企業それぞれです、と言うことになりますが、導入の目的を、前回のコラムのように
- 業務の生産性向上
- AIに強い人材育成
- AI/ChatGPTによる様々な業務プロセスの最適化
と定義した場合、以下のように進め方を推奨しています。
Phase | 概要 |
---|---|
Phase1 | 安心安全にChatGPTを社員が利用できるようにするPoC |
Phase2 | 利用者を定義し、実運用に向けた開発と実現(Phase1の実運用化) |
Phase3 | 業務プロセスへの適用PoC |
Phase4~ | 特定の/高度な業務利用を踏まえた検討、実現 |
ChatGPTは非常に汎用性の高い学習済のAIですので、ChatGPT単体でも、いろいろな業務効率化を実現できます。安全にかつ自由に利用できる環境を、できるだけ多くの従業員に提供することが、業務の生産性向上に繋がります。その展開に際しては、それぞれの企業ごとに、どういう形態で提供するかを一度実際に試して見てから展開をすることを推奨します。DX推進グループのような部署が既にある企業様は、そのような全社横串の部署が推進するのが良いでしょうし、そのような部署が無い場合は、様々な部署から代表者を選出して、一つのチームを結成し、Phase1:安心安全にChatGPTを社員が利用できるようにするPoCを、1ヶ月程度の期間実施してみることから始めてみてはいかがでしょうか?。
Phase1の活動結果と、展開先の規模や利用方針・ガイドラインが決まりましたら、その方針に合わせて、多くの従業員がChatGPTに日々自由に触れられる環境を作り上げるため、Phase2:利用者を定義し、実運用に向けた開発と実現(Phase1の実運用化)を推進します。
ChatGPTの安心・安全な社内利用環境を作り、社員が利用し始めてからは?
ChatGPTの安心・安全な社内利用環境を作り、社員が利用し始めてから、より具体的な業務に対して効果を出して行こうとした場合には、言うまでもなくそのユースケースを定義し、実際に必要な仕組み(業務プロセスの再定義、アーキテクチャ設計、既存システムとの連携、データ連携、システム開発/テスト 等)を作っていくことが必要になってきます。そこにはChatGPTを利用するコストだけではなく、何らかのシステム開発に紐尽くコストが発生してくることになります(勿論将来的にはそれらはPayされるべきです)。
しかし、このPhase2からPhase3/4に進もうとしたときに、なかなか進めないことがあります。利用者が増え、様々な要望がでてくるなか、どのような事から取りかかった方が良いか、優先度はどうするか、あるA部署の声が大きいからそこからやり始めるべきか、費用対効果の高そうなB部署からやり始めようか、本当に要望されている内容は何なのか、次のステップの共通基盤を定義し、その共通基盤上で動くものから進めようか、、、などなど、、、Phase3/4をどう進めたら良いのかわからないということが起こりがちです。この部分を、“ChatGPT展開の崖“と呼称してみます。この“ChatGPT展開の崖“を乗り越え、効率的にPhase3以降のプロセスに進むにはどのようにしていくのが良いでしょうか?
次のコラムでChatGPT展開の崖を乗り越えるための考え方と仕組みをご紹介
本コラムでは、ChatGPTをどのように社内展開していくのが良いかを簡単に説明した上で、社員が利用し始めてからより具体的な業務に対して効果を出して行こうとした場合に、課題が起こりやすいこと、“ChatGPT展開の崖“の説明を行いました。 次のコラムでは、”ChatGPT展開の崖”を乗り越えるための考え方と、そこにあるべき仕組みをご紹介していきたいと思います。
Azure OpenAI Service ChatGPTの業務/サービス利用等に関してご興味ある方は、いつでもご相談ください。 本コラムの内容を詳細にご説明することも可能ですし、皆様の状況に合わせたディスカッションをさせていただければと思っております。
執筆
AITC センター長
深谷 勇次