AITCで取り組んでいるAI技術の研究開発とは?目的とやりがいをご紹介!

こんにちは、AI製品開発グループの太田です。

年末最後に、この記事ではAITCでの研究開発の方針や取り組みについてご紹介します。 新卒や中途採用の方は、ご応募の際の参考にしてくださると幸いです。

AITCとは?

AIトランスフォーメーションセンター(AITC)は電通国際情報サービス(来年から電通総研に社名変更)で組織された、AIやデータサイエンスのプロジェクト推進のための専門部署です。

基本業務は、AIプロジェクトの推進とAI製品の開発になります。AIプロジェクトの推進では主にお客様が抱える課題をAIやデータサイエンスにより解決するというものになります。

AITCではAI製品として、様々なアプリケーションを開発してきました。その中でも特に現在力を入れているのが、ChatGPTを活用したソリューションknow Narratorシリーズです。

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さらに、AITCでは他部署が開発しているシステムや製品にAI機能を導入したり、AIが関係するプロジェクトのコンサルティングを実施しています。

そして、これらの活動のために、AIやデータサイエンスに関する技術や知見を獲得するために重要となる活動が、研究開発です。

研究開発の目的

AITCでは、研究開発を大きく3つの目的で行っています。

1つ目は、AI案件で相談されることが多い課題のソリューション検討とその評価です。 競合調査を行いながら、AzureのAIソリューションを活用したり、ときには最新技術の実装を行うこともあります。

2つ目は、AI製品開発に向けたアーキテクチャや技術選定の調査と検証です。 製品開発の前段階で機能の実現方法を調査し、管理機能の実現方法や検索エンジンの評価などに取り組んでいます。

3つ目は、新規案件の創出や新たなソリューションの模索活動です。
最新技術の技術調査から、プロジェクトに導入することでビジネス価値を得られるか調査します。

AITCの研究開発の主要な目的は、研究成果を論文として発表することではなく、得られた技術を実プロジェクト適用することにあります。ただし、学術的に価値のある結果はその過程の成果物を論文に寄稿したり学会で発表したりすることはあります。

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公開されている成果物

公開されている成果物は、技術検証結果の一部、文献調査結果、論文が多いです。 公開はされていませんが、どの目的でもMVP(プロトタイプアプリケーション)を作ることが多いです。プロトタイプによるデモができると関係者の理解度がかなり向上します。

AI 案件向け評価検証の活動

OCRや自治体向けRAG検証、医療DX、製造エンジニアリング向け技術検証などがあります。 様々な業界からの案件が寄せられるため、調査と評価の範囲も幅広いです。

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AI製品開発向けの調査検証

MLOps、PoCの成果物をプロトタイプとしてデプロイする方法、製品のコンセプト実現に向けた技術検証も含まれます。

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新規案件や新ソリューションの模索活動

アンケート分析、外観検査、ナレッジグラフのビジネス応用、需要予測など様々な内容をソリューション化に向けて活動しています。 最近では、GPT-4Vの技術調査やマルチエージェントの調査も行っています。

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研究開発のやりがい

研究開発の内容によって、目的は異なります。それぞれ違ったやりがいと楽しさがあります。

AI 案件向け評価検証の活動

既にお客様が求める状態であるため、お客様の課題を理解し、解決策を検討することができます。 手持ちの既存のAI技術で解決できるか考えるのは、パズルを解くような感覚があります。 実際にどこまで課題に有効か知るため、Azureが提供するAIソリューションなどの精度調査をすることもあります。

お客様の声を聞きながら成果物を改善する経験は魅力的です。 実際に自治体向けのRAG検証はメンバーがシステムが運用される現地まで行き、現場の方々と直接議論を行いました。 ビジネスから生まれる課題は評価方法も実現方法も未整備なことが多く、試行錯誤を繰り返す必要があります。

実際に、こういった検証活動が、実プロジェクトに繋がっています。

AI製品開発向けの調査検証

製品開発前にアーキテクチャや機能の評価を行うことは、将来の問題を回避するために重要です。 製品開発はいきなり開発を始めずに、事前にアーキテクチャや搭載機能の評価をします。 それは、開発が始まってから想定していなかった様々な技術制約によりプロジェクト推進が阻まれることを防ぐために実施しています。 例えば、検索エンジンの調査ではElastic Searchではベクトル検索が可能だが、Cognitive Searchでは不可能といった仕様を検証し、採用技術の選定を行っています。

新しい技術を評価するのではなく、既存の技術を組み合わせたり、トレードオフを評価したりするのは楽しいです。 開発方針についても、あるべき論を学び、その上で現実的な落とし所を考えるのも楽しさの一つです。

調査・評価した技術はその後、製品開発で実際に導入されます。 また調査した内容をブログで公開すれば、自己のブランディングにもなります。

新規案件や新ソリューションの模索活動

新しい技術のキャッチアップや実装が楽しいですが、それ以上に、その技術を実際の案件やソリューションに適用することが挑戦です。 だいたいは「ISIDがやるべきか?」という問いの前に立たされます。 それでも、AITCでは業務課題が日々流れてきますので、その内容を頭に入れながら、どこで応用できるか考えるのは楽しいです。

実際に外観検査は案件化にもなりました。 また、ナレッジグラフもISIDソリューションに搭載するべく、関係者とPoCを進めていました。 業務課題に詳しい人に技術を持っていき、新しい技術で何ができるか、私たちが考えた仮説と一緒に伝えると、たくさんのコメントを頂けます。 この課題仮説を検証する楽しさもあります。 提案した技術が評価される場合もあれば、そんな高機能を求めていないと言われることもあります。 しかし、それはそれでまた新たな方向性が切り開かれます。 作った技術とは違う方向に進んでも、確かなニーズと課題が見えてきます。

今後について

今年は、ChatGPTがAI市場で注目を浴びた年でした。 ISIDも同様にChatGPTに関連する案件が増え、研究開発にも影響を与えました。 ChatGPTを活用した社内PoCから始まり、汎用的なRAGアルゴリズムの検証へと続いています。 さらにそこから、様々な応用先に向けた技術開発検証が進んでいるところです。

来年はマルチモーダルな技術検証や複雑なQA対応など取り組んでいく予定です。 開発では、LLMを活用した開発ノウハウを公開していく予定です。 特に、内部処理でLLMを使う場合のガードレール、内部で利用するLLM処理の推論高速化、内部で利用するLLMのテストコードなど。 また来年は、特にマルチモーダルなデータ管理と活用を考える必要がありそうです。 その辺りも含めて公開していければと思っています。

まとめ

AITCに新卒や中途で検討されている方向けに、AITCの研究開発について、直近数年の公開されている内容をもとに紹介しました。 今後もAITCでは、研究開発とともにAIの社会実装を進めていきます。 興味を持った方は、まずはお気軽にカジュアル面談からご応募ください!

ご相談を希望される方は、お気軽にこちらのお問い合わせフォームからご連絡ください。

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筆者
AI製品開発グループ
太田 真人