Microsoft Ignite 2023: 「AI トランスフォーメーションと変革を推進するテクノロジ」はどんな感じだった?

Microsoft Ignite は、米国マイクロソフト本社主催の年次最大のテクニカル カンファレンスです。

2023年は、 [日本時間]11 月 16 日 (木) – 17 日 (金)に、「Experience AI transformation in action at Microsoft Ignite」をテーマに開催されました。

タイトルは直訳すると、「Microsoft Ignite で実際に AI 変革を体験してください」ということで、まさにAIのイベントでした。

「そのIgniteのAIイベントはどんな感じだった?」 に答える形で、

  1. 全体感を知りたい方向け
  2. もう少し詳しく知りたい方向け

の2ステップでお話ししたいと思います。

Microsoft Ignite 2023どうだった?(全体感を知りたい方向け)

Igniteの全体感は以下で把握することができます。

Ignite 2023のサイトは以下になります。

ignite.microsoft.com

このイベントのSession数は、全部で615ありました。 この全Session、615のタイトルをすべてリスト化し、ストップワードを除いた形でワードクラウド化した物が上記になります。

あとで説明しますが、Satya Nadellaさんがセッションの中で ”We are the copilot company.” と仰っていましたが、まさにタイトル通りAI>Copilot一色のイベントでした。

OpenAI、GPTを中心とした生成AI系の話は勿論のこと、Data系に関して、Microsoft Fabric関連の内容が多かったこと、あとは全体を通したSecurity対策のセッションが多数ありました。

615のセッションの中で、もっとも見るべきセッションは?と言えば、勿論マイクロソフト社のCEOであるサティア・ナデラさんのOpening sessionです。そのセッションは1時間ありますが、それを8分に短縮した物が以下になります。

www.youtube.com

この内容を要約すると以下になります。

  1. Azure Cobalt CPUの紹介:マイクロソフトクラウド専用に設計された64ビット、128コアのArmベースのチップで、クラウドプロバイダーの中で最速です。Microsoft Teams、Azure Communication Services、Azure SQLの一部で既に使用されています。
  2. Azure Confidential GPU VMのプレビュー:Nvidiaと共同設計したこのVMを使用することで、AIモデルを機密データセット上で動かすことができます。
  3. Azure Maya AIアクセラレーター:クラウドAIワークロード向けに設計された、50億トランジスタを搭載した5ナノメートルプロセスのチップです。AIに必要なパワーを支えるためのインフラも含まれます。
  4. GP4 TurboとAzure AI Visionの統合:ビデオ、画像、テキストをプロンプトとして使用することが可能です。
  5. Phi-2の発表:数学的推論において50%向上した、27億パラメータのAIモデルです。
  6. Azure AI Studio:AIモデルの構築、カスタマイズ、トレーニング、評価、デプロイをサポートするフルライフサイクルツールチェーンです。
  7. Microsoft Meshの一般公開:アバターを使用し、2DのTeams会議や3Dの没入型スペースで自己表現が可能になります。
  8. Bing ChatがCo-Pilotに:Microsoft Edge、Google Chrome、Safari、モバイルアプリで利用可能になります。
  9. Co-Pilot Studioの発表:カスタムGPTを作成し、プラグインを組み込み、ワークフローを管理するツールです。
  10. 各種業務用Co-Pilotの導入:開発者、セキュリティ、セールス、カスタマーサービスチーム向けの特化した機能が提供されます。

以上、”全体感を知りたい方向け”になります。

Microsoft Ignite 2023どうだった?(もう少し詳しく知りたい方向け)

もう少し知りたいという方には、先ほどのサティア・ナデラさんのフルムービーに続き、3つのKEYセッションを見ることをおすすめします。

Full Keynote: Satya Nadella at Microsoft Ignite 2023 | KEY01H

www.youtube.com

Becoming an AI-Powered Organization with Microsoft Copilot | KEY02H

www.youtube.com

The Future of Security with AI | KEY03H

www.youtube.com

Microsoft Cloud in the era of AI | KEY04H

www.youtube.com

特に、このKEY04H:AI 時代の Microsoft Cloudには要素がぎゅっと詰まっていて、この中では一番おすすめです。 以下、それぞれのセッションの日本語要約になります。

Becoming an AI-Powered Organization with Microsoft Copilot | KEY02H(Microsoft Copilot で AI を活用した組織になる )

  1. AI技術の進展: Microsoftは、AI技術を活用して生産性を根本的に変革することに注力している。
  2. Microsoft 365のCopilot: Microsoft 365に統合されたCopilot機能は、自然言語を使用して作業を効率化する。
  3. Azure Cloudとの連携: CopilotはAzure Cloudを通じて提供され、強力なAIモデルと安全性を兼ね備えている。
  4. Microsoft Graphの重要性: Microsoft Graphは、ユーザーのコンテキストに基づいたAI機能を提供するための中核となるデータベース。
  5. Windows 365の進展: Windows 365は、クラウドを通じたWindowsの利用を可能にし、多くの大企業で採用されている。
  6. Surfaceデバイスの更新: 新しいSurfaceデバイスは、AI体験をサポートするために開発されている。
  7. Microsoft Teamsの統合: Microsoft Teamsは、320万人以上の月間アクティブユーザーを持ち、AI機能との統合が進んでいる。
  8. Copilotのビジネスプロセス再構築: Copilotは、企業が自身のデータを活用してAIを拡張し、ビジネスプロセスを再構築するためのツールを提供。
  9. データセキュリティとプライバシーの確保: Copilotは、GDPRやEUデータ境界コミットメントに準拠し、企業のデータセキュリティとプライバシーを保護。

The Future of Security with AI | KEY03H(AI によるセキュリティの未来)

  1. マイクロソフトにおけるセキュリティの未来:サイバーセキュリティ問題の増大とその対処の難しさを説明。ランサムウェアやスパイ活動、サイバー戦争などのサイバー犯罪の増加が指摘
  2. 攻撃者の増加とその影響:マイクロソフトは300以上の重要なアクターを追跡しており、前年の200から増加している。サイバー犯罪のグローバルコストは8兆ドルに達すると予想されている。
  3. セキュリティ戦略とAIの活用:マイクロソフトは大規模なデータ、脅威インテリジェンス、最先端のAIを組み合わせたセキュリティアプローチを提案。セキュリティCopilotの導入が進められ、AIを活用したサイバーセキュリティの強化が図られている。
  4. セキュリティ運用の最適化:セキュリティ運用プラットフォームの統合が発表され、XDRとSIEMの組み合わせによるシームレスな運用が提供。AIがセキュリティ分析を支援し、複雑なデータの処理を助ける。
  5. ID管理とデバイス管理:身元管理に関する新たな機能が導入され、エンドポイントのセキュリティが強化される。IT管理者はAIのサポートを受けながら、デバイス管理ポリシーを簡単に設定・調整できるようになる。
  6. データセキュリティとコンプライアンス:データセキュリティとコンプライアンスに関する新機能が発表され、データ損失の調査が容易に。AIを使用したデータフローの分析と管理が強化される。
  7. AIのセキュアな運用とガバナンス:AIアプリケーションのセキュリティとガバナンスに関する新たなツールとガイドラインが導入される。AIのリスク管理とセキュアな運用がサポートされる。

Microsoft Cloud in the era of AI | KEY04H(AI 時代の Microsoft Cloud)

  1. 生成AIのシフト: 従来は一部の専門家の手にあった生成AIが、ビジネスに広く活用される段階へと移行しています。カスタムコパイロットの開発が可能になり、アプリケーション全般にコンテンツ生成を組み込むことができます。
  2. Azure AI Studio: ここでAIコパイロットを構築でき、最新の状態とオープンソースモデルを簡単に適用できます。データのプライバシーを保護しながら、自然なマルチモーダルインタラクションを提供します。
  3. Microsoft Cloudの使命: すべての人と組織がより成し遂げることができるよう支援することです。Microsoft Cloudは、従業員の生産性を高め、AIアプリケーションやソリューションの開発を支援します。
  4. 開発ツール: Microsoftは開発ツール会社として創立され、Visual StudioやGitHubなど、世界で最も広く使用される開発ツールを提供しています。
  5. GitHub Co-Pilot: AIペアプログラマーとして機能し、開発者の生産性を飛躍的に向上させます。新機能や企業向けのサブスクリプション層が追加されました。
  6. GitHubとAzure AIの統合: セキュリティ問題を検出し修正する機能が強化され、より安全で文書化されたコードの作成が可能になります。
  7. Microsoft Power Platform: 低コードプラットフォームで、組織がソリューションを迅速に構築できるよう支援します。
  8. Microsoft Co-Pilot Studio: マイクロソフトコパイロットをカスタマイズし、独自のコパイロットを作成できます。多様なデータソースとワークフローに接続可能です。
  9. Azureとデータブリックスのパートナーシップ: データブリックスは、AzureのオープンなLakehouseアーキテクチャに基づいており、Azure Fabricとの高い互換性を持っています。
  10. Co-Pilot for Azure: Azureの運用と管理をサポートするAIコパイロットです。リソースの監視、問題解決、コスト最適化などを支援します。

以上、「今回のMicrosoft Igniteどんな感じだった?」 に答える形のコラムでした。

本当にエキサイティングなイベントで、今後のAzure AI/Copilot関連がより楽しみになりました。

それらの技術を活用することで、 よりお客様のビジネスバリューが向上するAIコンサルティングや、 早く・高品質で・より簡単にAIが利用できるKnow Narratorのような製品開発を進めてまいります。

最後に、Microsoft Ignite Japan 4 年ぶりに大阪で開催!

https://www.microsoft.com/ja-jp/events/azurebase/wp-content/uploads/2023/11/Microsoft_Ignite_dec_13.jpg

Microsoft Igniteを、日本語で説明するイベント:Microsoft Ignite Japan が 、12 月 13 日 (水)に、オンラインおよび大阪会場のハイブリット形式で開催されます。 https://www.microsoft.com/ja-jp/events/azurebase/blog/microsoft-ignite-japan/

ご興味ある方はこちらもぜひ。


執筆
AITC センター長
深谷 勇次